第83章

彼女が手を動かし続けるあいだ、鳴瀬颯真はその場に立ったまま、原稿を一枚、また一枚とめくっていった……。

ずっと彼は、彼女の仕事なんて、星川グループの今にも潰れそうな会社を、付け焼き刃の腕でどうにか支えている程度だと思い込んでいた。

まさか彼女が、心から愛し、長く打ち込み、しかもすでに一定の成果まで手にしている「自分の仕事」を持っていたなんて――。

けれど、最後の一枚に差しかかったところで、鳴瀬颯真の指がぴたりと止まった。

男の顔のデッサン。

ただし、最後には鉛筆でぐしゃぐしゃに塗り潰され、原形が分からないほどに傷つけられていた。

鳴瀬颯真の胸が、理由もなくきゅっと締まる。

彼は...

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