第85章

「もう帰っていいのか?」

鳴瀬颯真は両手をポケットに突っ込み、落ち着いた声で言った。

その言葉は、鳴瀬芽衣と小林琴音、二人に向けられていた。

「終わったよ。これから琴音姉さんを連れ出して、一緒に買い物行くの。颯真兄さん、まさか反対しないよね」

三人は踵を返し、エレベーターホールへ向かって歩き出す。

「分かっててやるのか」颯真が淡々と返した。

芽衣は唇を尖らせる。

「分かってるよ。今、琴音姉さんは妊娠中だし、無理させちゃダメ。でも琴音姉さんも言ってたもん、三か月過ぎたらそんなに問題ないって。それに、私の卒業パーティーは大事なの。私、琴音姉さんのセンスしか信じてないし」

芽衣はさ...

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