第88章

小林琴音は紙みたいに顔色を失い、声を詰まらせながら泣きじゃくっていた。

鳴瀬颯真はベッド脇に立ったまま、彼女の訴えを黙って聞いている。深い眼差しが琴音を捉え、まるで内側まで見透かそうとしているみたいだった。

「颯真……」

病室の静けさが、逆に胸をざわつかせる。

彼は何も言わない。それなのに、見つめられるだけで、琴音はじわじわと後ろめたさに追い詰められていった。

鳴瀬颯真の表情は硬い。薄い唇がわずかに動く。

「琴音。俺が甘やかせば甘やかすほど、お前は調子に乗るだけだ。そんなことを続けていたら、最後には何も手に入らなくなる。分かるか」

その一言で、小林琴音は闇の底へ突き落とされた。...

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