第99章

窓の外は、空がかすかに白みはじめているというのに、相変わらず重たい暗さに沈んでいた。

リビングでは、ソファに座る星川千奈がテレビの報道を聞き流しながら、黙って視線を落とす。カーペットに座り込み、彼女の膝に額を預けたままの男――風見逸央を見つめていた。

彼の服は、エアコンの風でとっくに乾いている。けれど本人は、骨の髄まで疲れ切っているようだった。

星川千奈の胸の内は、言葉にできないほど複雑だった。

「逸央兄さん……」

低く呼ぶ。十五年前、あの村の夜と同じ呼び方で。

風見逸央はかすかに笑い、顔を上げた。唇は青白い。

「……もう、怒ってないのか」

その一言で、千奈はようやく理解した...

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