第53章

 坂井晴美は頭がぼんやりとして、後ろから藤原恭介が彼女を追いかけていることに気づかなかった。

 土田正志は車のスピードを上げ、藤原恭介を振り切ろうとした。

 彼が加速すると、藤原恭介もすぐに速度を上げて追いかけてきた。

 車は高架橋に乗り、窓ガラスは土砂降りの雨に打たれていた。

 坂井晴美はふと、バックミラーに映る藤原恭介の車を目にした。

 坂井晴美は一瞬固まり、後ろを振り返った。

 土田正志は言った。

 「藤原恭介が俺たちを追いかけてるな」

 どうしてここに?水原美佳を家まで送ったんじゃなかった?

 坂井晴美は少し考えて言った。

 「たぶん、たまたま同じ道なだけよ」

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