第110章

「星谷由弥子?!」

三人が三階に着いたところで、驚きの声が聞こえた。

声のする方を見ると、星谷由弥子は少し困惑していた。

この人は誰だろう?

その人は明らかに三人が立ち止まるとは思っていなかったようで、星谷由弥子の名前を呼んだ後すぐに後悔の色が浮かんだ。その目に宿った悔しさを隠す暇もなかった。

「上原桃華さんじゃないか」川崎冬也はその人を知っているようだった。「南先生を探している?」

「……ええ」川崎冬也が話のきっかけを作ってくれたので、上原桃華は気が進まないながらも応じるしかなかった。「南先生と一緒に楽譜を完成させる予定で、今日彼女がいるか確認しに来たんです」

「なるほど、学...

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