第141章

警察署の外。

鈴木真琴は車の中に座り、時折外を窺っていた。

「警察署の入口に行って見てきて。どうしてまだ出てこないの!」

時間は一分一秒と過ぎていき、丸一時間が経過するのを目の当たりにしながらも、警察署の入口を行き交う無数の人々の中に星谷邦男の姿は見えず、物音一つ聞こえてこなかった。

鈴木真琴は眉をひそめ、運転手に様子を探らせた。

運転手が行ってからも、さらに長い時間が過ぎた。

「ふん、また一人消えたわ!」

鈴木真琴は心の中で悪態をつき、いらだたしげに自分の服を整えると、車のドアを開けて降りた。

数歩前に進んだところで、星谷邦男と運転手の二人の姿が彼女のいる方向へ歩いてくるの...

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