第146章

「携帯を貸して!電話したいんだ!」

「誰かいないのか?誰か来てくれ!」

星谷清彦は半ば狂気じみた様子で留置室のドアを叩き続け、外に向かって必死に叫び続けた。

廊下は人の往来が絶えないのに、立ち止まる者は一人もいない。

叩き疲れ、叫び疲れた星谷清彦はドア際にもたれかかったまま力なく床に滑り落ち、口の中で何かをつぶやき続けていた。大丈夫だ、大丈夫だ、父さんがきっと助けに来てくれる……

彼は震えを抑えることができず、必死に自分自身を抱きしめていた。言葉にできないほどの恐怖が彼を飲み込んでいく。

「清彦、清彦……」

うっすらと、星谷邦男の声が聞こえたような気がした。

これまで嫌悪して...

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