第167章

天宮東輔は焦った。プロジェクトの件が外部に漏れたら、彼の地位は間違いなく保てないだろう。

後々のことを考え、天宮東輔は生まれて初めて天宮和人に頭を下げた。

天宮和人は天宮東輔の拘束する手を振り払った。

動揺するばかりで、反省の色が微塵も見えない天宮東輔を冷ややかな目で見つめる。

「選択肢は二つしかない。一つ目は取締役会の前で状況を説明すること。二つ目は天宮家の破産を待つことだ」

彼は天宮東輔を深く見つめ、冷たく鼻を鳴らして立ち去った。

月明かりが星空を照らし、竹の影がゆらめいている。

天宮和人は天宮本家の庭園の美しさに心を留める余裕もなく、重い気持ちで本家の脇にある池へと足を運...

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