第169章

夜が更け、宴会場には柔らかな音楽が流れていた。

ゴールデンアーチを過ぎると、華やかな衣装に身を包んだ名士たちが集う光景が広がっていた。

四方には目を見張るほど美しく並べられた料理の数々。どれも芸術品のように丁寧に調理され、思わず唾を飲み込みたくなるほどだった。

給仕たちは物音一つ立てず人混みを縫うように動き回り、一人一人の客に細やかなサービスを提供していた。

星谷由弥子は天宮和人の腕に手を添え、天宮拓海の手を引きながら宴会場に足を踏み入れた途端、無数の視線を集めることとなった。

近くにいた人々はすぐにグラスを手に会話を求めてきた。天宮和人は笑みを浮かべながらも、さりげなく妻と子を背...

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