第170章

青海喜子の無差別攻撃に、攻撃された二人は同時に表情を硬直させた。

垂れ下がった両手は思わず強く握りしめられ、それでも青海喜子の身分と地位が抜きん出ているため、二人は腹が立っても反論する勇気はなかった。

ただ丸い目を見開き、つらそうな表情で青海喜子を見つめるだけで、一言も発しなかった。

「臆病者」

青海喜子は彼女たちの取り繕った態度が気に入らず、再び口を開いて嘲笑した。

「一匹の頭の悪い媚びる犬と、一人の自覚のないお姫様。どうやってこのパーティーに紛れ込んだのかしら」

「喜子」

青海喜子の声が落ちると同時に、柔らかな声が人混みから漂ってきた。

顔を上げると、上原桃華が背広姿の男...

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