第208章

「どういうつもり? 正々堂々じゃ勝てないから、今度は卑怯な手を使うってわけ?」

 南由子は星谷由弥子を抱きかかえながら、怒りを込めて上原薫也を睨みつけた。

 星谷由弥子に引き留められていなければ、南由子はとっくに飛び出していただろう。

 上原薫也は答えず、星谷由弥子を深く一瞥すると、すでに遠ざかっていた二人の後を追っていった。

「なんなのよ、あいつら!」南由子は怒りが収まらない。「前に上原家の人に会ったときは、全然こんなじゃなかったのに」

 上原健介が大学に校舎を寄贈しに来た際、芸術学部の教員である南由子も当然、案内役の一人として同行していた。

 その間ずっと付き添っていた南由子...

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