第214章

「餌は全て撒き終わったか?」

「はい、全て完了しております」木下浩介は天宮和人の方を向いた。「三郎様の方へは、引き続き投下が必要でしょうか?」

「ああ」天宮和人は顔も上げずに応える。「次の入札が始まる」

 木下浩介はその一言で全てを悟った。

 天宮東輔に、もはやチャンスはない。

 しかし、目下処理すべき危機もまた存在していた。

「社長、千野様が我々のプロジェクトのファイアウォールを執拗に攻撃しており、演算部が対応しきれなくなりつつあります」

 言い換えれば、演算部には人手が必要だということだ。

 全局を見渡す天宮和人が、それを知らないはずもない。

 木下浩介は天宮和人の顔色...

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