第236章

星谷由弥子の鋭い一喝を受け、随行していた男もようやく主人の異変に気がついた。

星谷由弥子が老人の衣服を寛げているのを見るや、男は慌てて老人の背をさすり、呼吸を整える手助けをする。

星谷由弥子もまた、ボタンを外し終えると同時に手際よく動いた。携帯していた銀針を取り出し、迷うことなく頸部のツボに打ち込む。

ものの数刻もしないうちに、苦しげだった老人の顔色が徐々に戻り始めた。

「あそこに椅子があります。まずあそこに座らせて、休ませてあげてください」

随行の男は言葉もなく、ただ星谷由弥子の指示に従うばかりだった。

「大旦那様、気分はいかがですか? すぐに病院へお連れしましょうか?」

椅...

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