第269章

万事爺さんは、母子二人の反応などお構いなしに、強引にその小さな金の鎖を天宮拓海の首にかけた。

「これは平安の鎖だ。我らの拓海が平穏無事に育ち、楽しく暮らせるようにとの願いが込められている」

老人たちの願いは至ってシンプルで、ただ孫世代の健やかな成長を祈るのみだ。

「ですが、万事師匠……」

「いいのよ、由弥子。そんなに気負わないで」

右側にいた銀髪の老婦人が、笑みを浮かべて星谷由弥子の言葉を遮った。

「長い付き合いだから、師匠の気性はよく知っているでしょう? あの人は昔から有言実行の男だし、誰もが知るドケチでもあるんだから」

老婦人の言葉には、安らぎだけでなく、どこか悪戯っぽい響...

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