第270章

「つまり、その検証のために、ご自身のスキャンダルが世間を騒がせても構わなかったと?」

 星谷由弥子はふっと笑みをこぼした。

 彼女は男の手を振りほどくと、天宮和人を真っ直ぐに見据える。

「天宮社長、お互いいい大人なんですから、自分の言動に言い訳をするのはやめましょう」

「あなたが話すのも疲れるでしょうし、聞いている私も疲れます」

「私の顔色を窺う必要はありません、至って冷静ですから。私が腹を立てているのは、浮気疑惑の真偽ではなく、あなたが私に報告を怠ったという事実に対してです」

「あなたの隠蔽工作のせいで、随分と迷惑を被りました。何も知らないまま、探りを入れてくる周囲からの電話対...

ログインして続きを読む