第290章

「ルナ様、嗅ぎつけられました」

ルナは優雅にワイングラスを傾け、ゆっくりと赤ワインを一口含んだ。

しばらくの時をおいてから、ようやく彼女は恐怖に顔を歪める部下へと視線を向ける。

照明の光輪の下、その金髪碧眼は妖艶な輝きを放ちながらも、見る者を震撼させる冷たさを帯びていた。

「怖いのか?」

濡れたような紅唇を開き、彼女は問いかける。

同じく金髪碧眼を持つ部下は答えることさえできず、ルナの視線に射すくめられて、ただ頭を垂れるばかりだった。

「ふふっ」

ルナは鼻で笑う。

「『無秩序』に腰抜けはいらないわ。これしきの攻撃に怯えるようなら、いっそ神の御元へ行けばいい」

さらりと言っ...

ログインして続きを読む