第292章

「最近少々立て込んでいましてね。申し訳ないが、木下さん、頼んでいた物をすべて持ってきてもらえますか」

上原健介は胸中に渦巻く疑念を押し殺し、あくまで冷静な表情を崩さない。その様子は、本当に多忙で用件を忘れていただけのように見えた。

木下は疑う素振りも見せず、晴れやかに微笑んだ。

「承知いたしました、上原社長。どうぞお仕事を続けてください。すぐに持ってまいります」

木下が部屋を出ていくと、上原健介は即座に秘書へ指示を飛ばした。上原桃華の最近の動向、その大小すべてを洗い出させるために。

病室。

広すぎるベッドに横たわる上原夏菜の姿は、あまりにも小さく、生気に欠けていた。その儚さ...

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