第295章

白石安広の瞳に溢れんばかりの憂色が映っているのを見て、星谷由弥子は思わず俯き、微苦笑を漏らした。

「白石先輩、森島師匠が帰ってきましたよ」

「はあ?」白石安広は再び目を丸くした。「冗談だろう? まさか遊びに来たなんて言うんじゃないだろうな!? で、森島師匠はどこにいるんだ?」

普通に考えれば、あの森島師匠が帰還したとなれば、残る二人の古狸たちがその場で大騒ぎしないはずがない。

師匠が姿を消してから、丸五年。音沙汰一つなかったのだ。

星谷由弥子の出所はおろか、彼女の結婚でさえ……どんな一大事があろうとも、森島師匠は姿を見せなかった。

白石の師匠に至っては、森島師匠が既に鬼籍に入って...

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