第313章

重心が傾いたその刹那、三郎が脱兎のごとく駆け寄り、彼女の手首を死に物狂いで掴み取った!

「桃華! 正気か! 馬鹿な真似はやめろ、話せば分かることだろう!」

「離して、離してよ! どうせみんな、私が上原家の娘じゃないって思ってるんでしょ! なら、いっそ死んでやるわ!」

「桃華、戻れ!」薫も身を乗り出し、兄弟二人がかりで必死に彼女を引き戻した。

暴れていた彼女も、泣き崩れて脱力し、その場にへたり込む。

上原家の祖父は膝を折り、彼女を優しく抱きしめた。その瞳には痛ましい色が浮かんでいる。「怖がることはない。誰も桃華を追い出したりせんよ……」

上原桃華はしゃくり上げ、もはや言葉にならない...

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