第324章

係員はまだ電話にかじりついている。その険しい顔色を見る限り、船の手配は難航しているようだ。無理もない、時刻はすでに深夜を回っているのだから。

「気でも狂ったか? この嵐だぞ……死にに行くようなもんだ」

白石安広が立ちはだかり、彼を制止した。

「狂ってなんかない。由弥子が見つからなかったら、その時こそ俺は狂ってやる!」

白石安広は、天宮和人が一度決めたら梃子でも動かない男であることを知っていた。最初は軽く構えていたが、いざこうなると、もう誰にも止められない。

結局、天宮和人は一隻のモーターボートを見つけ出した。幸い、島までの距離はそう遠くない。そうでなければ、小型船での渡航など不可能...

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