第325章

風の音が強まってきた。数分後、彼女は一隻の船に乗せられる。

甲板を踏んだ瞬間、足元が微かに揺れるのを感じた。

冷たい椅子に押し込まれ、誰かの手によってシートベルトを締められる。頭の覆いはそのままだ。

「どう? 今度こそ本物のアジトかしら?」

彼女が言い終わるか終わらないかのうちに、隣の男が低く鼻で笑うのが聞こえた。

船がゆっくりと動き出し、エンジンの轟音が次第に大きくなる。

星谷由弥子は目を閉じ、船体の揺れに身を任せた。波のリズムに合わせて身体が揺れる中、心は意外なほど凪いでいた。

真相へ、また一歩近づいたのだ。

『無秩序組織』を裏で操る人物。盤面を支配するその黒幕が、ついに...

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