第332章

市街地の中心に位置するローバル・ショッピングセンターは、凄まじい喧騒に包まれていた。

結局のところ、天宮和人は星谷由弥子に押し切られた形だ。

カフェの二階テラス。彼は手すりに寄りかかり、指に挟んだ煙草に火をつけることもなく、眼下を行き交う人の波を冷めた目で見下ろしている。その視線は、群衆の中のただ一点を鋭く射抜いていた。

背後で、変哲もないTシャツにキャップを目深に被った男が、声を潜めて報告する。

「ボス、配置完了しました。モールの主要出入口四ヶ所、および監視カメラの死角となる七ヶ所、すべて押さえてあります。公安が『表』なら、俺たちは『裏』です。蟻一匹逃がしません」

天宮和人は振り...

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