第334章

デインの瞳から、最後の光が消えようとしていた。

サースラから漂う硝煙と金属の冷徹な匂い。死の重圧に、唇の震えさえ止まらない。

彼が口を開こうとしたその瞬間、星谷由弥子の指先がコンソールを軽く叩く。

人には聞こえない高周波パルスが、デインが死に物狂いで握りしめた「車のキー」から放たれた。

その周波数は周囲の武装兵には無害だったが、サースラが上層部との単線連絡に用いるインイヤー型通信機には、刹那のノイズをもたらした。

「ジジッ――」

極めて微かな、聞き流してもおかしくない雑音。だが、極限の警戒状態にあったサースラの瞳が凍りつく。

機器の故障? 敵のジャミング? それとも海岸特有の電...

ログインして続きを読む