第339章

夜風が波止場を吹き抜ける。そこには、容易には拭い去ることのできない鉄錆と血の臭いが澱んでいた。

狼藉たる戦場をサーチライトの光柱が幾度も切り裂き、公安部の捜査員たちが黙々と現場検証を進めている。金属製の薬莢がピンセットで証拠品袋に入れられるたび、「カチャン」という無機質な音が、やけに耳障りに響いた。

白布を被せられた遺体を撮影し終えた若い隊員が、立ち上がろうとして膝を折る。

風岡真が歩み寄り、その身体を支えた。彼はポケットから煙草の箱を取り出すと、一本振って隊員の口に含ませ、自ら火をつけてやる。

「吸い終わったら、車で休んでろ」

無秩序組織の指令センターでは、ライトがモニターに映し...

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