第340章

午前九時半、上原旧邸。

警戒態勢は相変わらず厳重だが、漂う空気にはどこか粛殺とした重苦しさが混じっている。星谷由弥子と天宮和人の車が、主屋の玄関前に滑り込んだ。

執事が二人を待ち構えていた。その表情は恭しくも複雑なものを湛え、二人をリビングへと案内する。

リビングルームは、そこにいるだけで押し潰されそうなほど重苦しい空気に満ちていた。

上原弘は上座に端然と座し、その感情を読み取ることはできない。その左手には上原桃華。眼縁を赤く腫らし、「この世で一番の被害者は私」と言わんばかりの顔をしている。

右手には、眉間に深い皺を刻んだ上原健介。そして上原薫也と上原鳥羽も、それぞれ腹に一物を抱え...

ログインして続きを読む