第341章

車内は静寂に包まれていた。

星谷由弥子はシートに深く身を預け、車窓の外を飛ぶように過ぎ去る街並みを眺めていた。上原家の喧騒は、もはや遥か後方へと完全に置き去りにされていた。

上原健介の別れ際の言葉、そして書斎での上原弘の警告が、彼女の脳裏で反響し続けている。

「まだ上原家のことを考えているのか?」

天宮和人の声がした。

星谷由弥子は小さく頷く。

「上原弘の反応……あれは不自然だった。関係を断ち切るのに必死で、むしろ何かを隠蔽しようとしているように見えたわ」

「上原家の内部事情は複雑怪奇だ。絡み合う利権も多すぎる」

天宮和人の口調は沈着だ。

「君が上原の人間ではなかったことで...

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