第344章

翌朝。ブラインドの隙間から陽光が差し込み、部屋の中に斑らな光と影を落としていた。

星谷由弥子が目を覚ますと、隣はすでに空だった。だが、天宮和人の体温はまだ微かに残っている。ナイトテーブルには適温の水と、小さなメモが置かれていた。

筆跡は彼らしく、力強く荒々しい。

『朝食は下だ。少し用事を済ませてくる。待ってろ』

由弥子は水を一口飲んだ。一夜の安眠のおかげか気分は悪くない。脳内を掻き乱していた記憶の濁流も、今は鳴りを潜めているようだ。

身支度を整えて階下へ降りると、金髪のハッカーが大きな隈を作った顔でサンドイッチを頬張りながら、ノートPCを猛烈な勢いで叩いていた。

「おっはよー!」...

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