第355章

天宮私立病院。

特別病室では、天宮和人と酷似した体格を持つ男が昏睡状態にあり、二名の「隼」隊員が厳重な監視体制を敷いていた。

だが、本物の天宮和人は、とっくに秘密ルートを通じて星谷由弥子の別荘へと移送されていた。

別荘内ではHが自ら陣頭指揮を執り、セキュリティレベルは最大まで引き上げられ、まさに難攻不落の要塞と化している。

「H、病院の状況は?」星谷由弥子が暗号化された回線を通じて問いかけた。

「異常なしだ。羽虫が数匹、外周を嗅ぎ回っているが、近づく度胸はないらしい」Hの声は、相変わらず冷静そのものだ。

星谷由弥子の唇が、冷ややかな弧を描く。

(上原の奥様、私が気にかけているの...

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