第357章

敬加大学。国内トップクラスの偏差値を誇るこの学府の空気は、青春の輝きとインテリジェンスの香りで満ちている。

だが、その雰囲気は、星谷由弥子が最近潜り抜けてきた修羅場とは、あまりにも不釣り合いだった。

完璧に偽造された交換留学生の書類を携え、彼女は金融学部の階段教室へと足を踏み入れる。

後ろの席の隅に腰を下ろす。窓から射し込む日差しは温かいはずなのに、心の奥底に巣食う冷たさを溶かしてはくれない。

周囲は若い学生たちの笑い声で溢れ、講義のことやサークルのことなど、平和で他愛のない会話が飛び交っている。

星谷由弥子は教科書を開くが、意識はとうに海狼岬の孤島へと飛んでいた。

B-07。

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