第361章

 別荘に戻った頃には、空が白々と明け始めていた。

 リビングは、死のような静寂に包まれていた。

 金髪の男はゲーミングチェアに深く沈み込み、充血した目でモニターを睨みつけている。画面に映っているのは何の反応も示さない追跡マップだ。それでも彼は、全財産を失ったギャンブラーのように、既に無効となったプログラムを何度も、何度も走らせ続けていた。

 林田望は部屋の隅で身体を縮こまらせ、一言も発さずに機械的な手つきで傷の手当てをしていた。消毒液を含ませた脱脂綿で傷口を拭い、血に染まったそれを足元のゴミ箱へ放り込む。

 血の匂いと消毒液の刺激臭が混じり合い、鼻をつく。

 ソファに背を預けた天宮...

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