第367章

現れたのは、天宮家のお爺様だった。

「いい加減にせんか」

天宮お爺さんはオフィスの惨状に目もくれず、床を杖でひとつ突いた。その軽い音が、空間を支配していた喧騒を瞬時に黙らせる。

「爺さん……」

天宮和人が振り返る。全身に纏っていた暴戻な気配は霧散し、後に残ったのは骨の髄まで沁み込んだ疲労感だけだった。

「お前たち夫婦が何の遊びに興じているのか、儂の知ったことではない」

天宮お爺さんは紫檀の杖を突き、孫の眼前に歩み寄る。

「これ以上掻き回せば、潰れるのは他人ではない。天宮グループそのものだ。帰るぞ」

「俺は行かない」

「ならん」

天宮お爺さんが杖で床を重く鳴らす。その声は山...

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