第373章

国家安全保障局、ある極秘データセンター。

深夜、膨大なデータストリームが滝のごとく画面を流れ落ちていた。

当直の技術員の前で、ひとつの目立たないシグナルがポップアップする。システムはそれを自動的に『出所不明の無害な冗長データ』と分類し、定型処理による削除を実行しようとしていた。

削除コマンドが実行されるコンマ一秒前、何者かの手が技術員の操作を制止した。

「待て」

現れたのは白髪の男。このセンターの責任者であり、コードネーム『鳩』と呼ばれる人物だ。

彼は画面上で消去されかかっているデータを指差した。

「その暗号化プロトコルを表示しろ」

若い技術員は訳が分からなかったが、即座に命...

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