第379章

星谷由弥子は自室に戻り、扉を閉ざして鍵をかけた。

「カチリ」という極めて微かな音が、世界を完全に遮断する。

夏菜は絨毯に腹ばいになり、折れた青いクレヨンで画用紙を塗りつぶしていた。描かれた空は、大きく欠け落ちている。

「お母さん」

夏菜は顔も上げずにそう呼んだ。

星谷由弥子は歩み寄り、あぐらをかいて座り込むと、その短いクレヨンを手に取り、画の中の空の欠落を少しずつ埋めていった。

「夏菜。新しいゲームをしましょう」

声は凪いだ水面のように平坦だった。

「これから先、誰を見ても、何を聞いても、怖がってはいけないわ。ここは遊園地。私たちは観光客。彼らは着ぐるみを着た役者よ」

夏菜...

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