第380章

なぜ、彼女がここに?

しかも、あのような姿で。

隣にいるのは天堂島の「案内人」だ。悪名高いその男を、知らぬ者などいない。

上原健介は、彼女と子供が誘拐されたと狂ったように訴えていた。だが眼前の光景は、そんな話が極上の笑い話に思えるほどだ。

彼女は生きている。それどころか……傷一つ負っていないように見える。

こちらの視線に気づいた案内人は、あろうことかグラスを軽く掲げてみせ、星谷由弥子とその娘を連れて、真っ直ぐこちらへ歩いてきた。

彼の一歩一歩が、まるで上原弘と健介の心臓を踏みしめるかのように響く。

「上原さん、大旦那様、今晩は」案内人は満面の笑みを浮かべた。「奇遇ですね」

上...

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