第381章

「父さん、俺は前から警告していただろ」

上原弘の身体が強張った。

「夏菜を連れ去ったのは、上原桃華だと言ったはずだ」

上原健介の声は極限まで張り詰めていた。彼は父の肩越しに、宴会場の彼方へと視線を投げる。

「ただ、あいつがここまで非道な真似をするとは思わなかったがな」

「あの子が連れ去った? 桃華が、なぜ……」

上原弘の言葉が喉に詰まる。目の前でいつも弱々しく従順な娘と、そんな陰湿な手段がどうしても結びつかないのだ。

「あいつは違うからだ」

上原健介が遮る。その一言一句が、氷の礫となって床に叩きつけられるようだった。

「あいつは父さんの娘じゃない。ましてや、俺の妹でもない」...

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