第383章

「あの女、上原家と因縁があると言ったか?」

 蠍は無事な方の手で、合金製のテーブルを苛立たしげに叩いた。

「ええ、ボス。どうやら上原家の内輪揉めのようです。上原桃華という女に売られて、ここに送られてきたとか」

 蠍の指先が冷たい天板を滑り、不快な金切り声を上げた。

『建築家』の古狸め。俺の手から獲物を横取りし、大事に囲い込んでいると思えば、今度は上原家まで絡んでくるとはな。上原家の利権は根深い。『天堂島』のようなドブ川の中ではないが、表社会での影響力は凄まじいものがある。

「家族に見捨てられた女、ゴミのように掃き溜めに捨てられた医者、か……」

 蠍は乾いた唇を舐めずり、病的な興奮...

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