第387章

彼女は立ち上がり、医療用ワークステーションへと歩み寄った。

キーボードを叩く指先は、残像しか残らないほどの速さで舞う。

『レベル2』の権限。それは、天堂島の内部回路に突き立てることのできる、鋭利なメスそのものだった。

彼女は通常のログをすべて回避し、基地通信中継サーバーの深層キャッシュへ直接侵入する。それは極めて危険な賭けだ。ほんの些細なミス一つで、最高レベルのアラートが鳴り響くことになる。

だが、選択の余地はなかった。

膨大なデータストリームが画面上を狂ったように流れ去る。彼女の脳は高速回転し、無数の情報の破片から、求めている痕跡を必死に手繰り寄せていた。

程なくして、彼女はそ...

ログインして続きを読む