第415章

車内は、遮音ガラスによって都市の喧騒から切り離され、二人を包む空気だけが澱んでいた。

上原健介が、ハンドルをコツコツと指関節で叩き、沈黙を破る。

「弁護士団を介入させて、あの信託基金を凍結させる。上原桃華が動かした金はすべて記録に残っている。横領の証拠になるはずだ」

彼はすでに臨戦態勢に入っており、その口調は決断に満ちていた。

星谷由弥子は窓の外を流れる煌びやかな夜景を眺めたまま、振り返りもしない。

「必要ないわ」

囁くような声だったが、それは鋭い針となって、上原健介が描いた青写真を一瞬にして突き崩した。

彼は勢いよく振り向く。彼女は変わらず窓に寄りかかったままで、今の言葉がま...

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