第441章

上原健介と別れてからも、星谷由弥子の脳裏にはあの謎めいた女のことがこびりついて離れなかった。

X市大学に戻ると、午後の日差しがクスノキの葉隙から降り注ぎ、地面に斑模様を描いている。周囲には若者たちの笑顔とささやき声。だが、その久方ぶりの平穏も、彼女の心を解きほぐすには至らない。あの女の冷ややかな視線、そして『あの人にそっくりね』という言葉が、見えない棘となって胸に突き刺さっていた。

講義棟へ向かおうとしたその時、脇の雑木林から人影が飛び出し、立ちはだかった。

「先生!」

現れたのは、チーム「黒鴉」のキャプテン、三富宮根だ。長身にスポーツTシャツと短パンという出で立ち。引き締まった前腕...

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