第458章

蝶の温室には、子供たちの楽しげな笑い声がまだ反響していた。

絢爛な色彩と、むせ返るような甘い花の香り。それらが扉一枚隔てた死の企みと交錯し、残酷極まりない光景を織りなしている。

夏菜の耳が、ピクリと動く。

彼女には聞こえていた。

あの音。ブンブンという、不快な羽音が。

夏菜は無意識のうちにママの服の裾を強く握りしめた。そして、ママが以前教えてくれた方向――目立たない従業員用の通用口へと視線を走らせる。

扉が、音もなくわずかに開いた。

その隙間から、一つの顔が覗いている。

偽物のそばかすと、蝋のように黄色く塗られた肌。だがその瞳だけは、狂った炎を宿し、怨毒と興奮でぎらついていた...

ログインして続きを読む