第464章

林田哲。温厚な画家に成りすましていたあの「道具」は、結局何一つ吐かなかった。

彼はまるで使い捨ての駒だ。頭の中にあるのは虚偽の身分と台本だけで、中身は空っぽ。風岡矢子と、その背後にいる亡霊は、足がつく糸をすべて断ち切っていた。

取調室の明かりが消えると同時に、大ニコから電話が入った。その口調には、抑えきれない怒りが滲んでいる。

「姉御、こいつ口が堅え! 全然口を割らねえっす!」

「もういいわ」星谷由弥子の声に感情の色はない。「彼の頭に入っているのは、他人が彼に『知らせたい』ことだけ。口を割らせても無駄よ」

手がかりが一つ途絶えたところで、彼女の心はさほど波立たなかった。この戦争にお...

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