第477章

声は決して張り上げてなどいない。だが、そこには絶対零度の冷気が宿っていた。

そのたった二文字が耳朶を打った瞬間、星谷由弥子の身体はなんの前触れもなく凍りついた。

脳の奥底で、ドカンと爆発音が轟く。長い間固く閉ざされていた水門が、強引に粉砕されたかのようだった。

混沌とした、砕け散った記憶の断片。鋭い耳鳴りと、鼻を突く化学薬品の刺激臭。それらが一緒くたになって、問答無用で頭の中になだれ込んでくる。

「おい、どうした?」

天宮和人が異変を察知し、ふらつく彼女の肩を支える。

彼女は答えなかった。いや、答えられなかったのだ。

……白い実験室。この廃墟のような基地よりも新しく、明るい。目...

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