第479章

帝都。

蔦に覆われた古びた洋館が、黄昏の中で世間から隔絶されたような寂寥感を漂わせている。

ここは、引退した三富教授の住まいだった。

星谷世夫の日記によれば、この三富教授こそが、彼が生前「盟友」と呼べる数少ない人物の一人だったという。

軋んだ音を立ててドアが開く。現れたのは、白髪こそ目立つものの、眼光鋭い老人だった。彼は門前に立つ星谷由弥子と天宮和人の姿を認めると、露骨に警戒心を滲ませた。

「……誰だ」

「三富教授でいらっしゃいますね」

星谷由弥子は極めて丁重な物腰を崩さなかったが、その声には揺るぎない芯があった。

「ある人物についてお伺いしたいのです。……星谷世夫について」...

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