第482章

「勾玉の片割れは、星谷世夫が上原家に隠した」

 密閉された車内に、星谷由弥子の声が冷ややかな確信を帯びて響いた。

 天宮和人はハンドルを握る指に力を込める。彼は即答せず、逆に問い返した。

「最後の鍵を敵の鼻先に置くなんて、あの人のやり方らしくない」

 その言葉は、星谷由弥子の混乱した思考に投じられた一石だった。

 彼女は動きを止める。

 確かにそうだ。あれほど骨の髄まで傲慢なパラノイアである星谷世夫が、最も重要な物を、最も憎む相手の手に委ねるだろうか?

 それは信頼ではない。降伏だ。

 彼は、決して降伏などしない。

 強引に抑え込まれていた記憶の断片が、突如として湧き上がる...

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