第530章

夏菜の声は軽やかで、子供特有のあどけなさを帯びていた。けれどそれは一本の針のように、裏庭の穏やかな黄昏を鋭く突き刺した。

「怖がってる……空から落ちてくる、あの壊れた星を」

星谷由弥子は、娘の肩に置いた手を思わず強く握りしめた。

少し離れた場所で見守っていた天宮和人の静かな影が、瞬く間に母娘の傍らへと移動する。

彼は何も訊かなかった。ただ星谷由弥子と夏菜をまとめて抱き寄せ、その体温で、見知らぬ場所から滲み出してくる寒気を遮断した。

夏菜の感知能力――血脈の深奥から響く共鳴は、すでに時間と空間の制約を超越している。

彼女が『視て』いるのは、流光となって大洋に墜落した衛星の残骸ではな...

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