第83章

星谷由弥子は装いを整えて振り向き、白石安広も白獅子の面をつけた。

そして、二人は揃って闇市へと足を踏み入れた。

青石の敷かれた闇市の通りを歩いていると、あちこちから露店の売り子の声が時折聞こえてくるが、通り全体はそれほど賑わってはいなかった。

「おや、あの二人、面をつけているぞ」

そのとき、少し離れた茶屋から驚いた声が漏れてきた。

「世間知らずだな。面をつけている奴なんて大勢いるだろう。この茶屋の中にもいるじゃないか」

「そういう意味じゃないよ!」驚きの声は苛立ちに変わった。「周りを見てみろよ。黒猫の面をつけている奴がどこにいる?それに、そばにいる男は白獅子の面だぞ!」

「何が...

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