第85章

「プッ、本当にバカばかり。自分の知らない業界のくせに、よく口出しできるよな。家業を守れなくなるのも当然だ」

遠ざかるやいなや、白石安広は思わず笑いを漏らした。

「由弥子ちゃん、君の手腕は見事だよ。あんな小物をたくさん買ったのを不思議に思っていたけど、あっさり良い値で売り抜けるなんて!」

闇市の表向きの品物は素人向けのものばかりで、良いものはめったになく、ほとんどは精巧な工芸品で、高値はつかないものだった。

「お金が向こうから来るなら、もらわない手はないでしょう」星谷由弥子は微笑んだ。

「行きましょう、時間も遅くなってきたし、探し物は早いうちに」

来る途中、白石安広は良い翡翠を人に...

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