第11章

日向雫の全身ががくがくと震えていた。怖いからじゃない。胸の奥いっぱいに詰まった、どうしようもない悔しさと怒りのせいだ。

涙が勝手にこみ上げ、視界が滲む。唇を噛みしめたまま、震える声を絞り出した。

「鷹司蓮矢! 私の初めて、あなたにあげたの!」

鷹司蓮矢は鼻で笑った。氷みたいに冷たい目。その奥で、ほんの僅かにヒビが入ったようにも見える。

「日向雫……お前、俺を馬鹿にするのも大概にしろ」

彼はそれ以上、目すらくれなかった。服を整え、無駄のない動きで身支度を済ませる。手際がいいのに、どこまでも冷淡だ。

未練は欠片もない。慰めの言葉もない。

バン、と扉が乱暴に閉められた。

重い音が、...

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