第115章

彼は給仕を呼び、朝食を注文すると、日向雫へ視線を向けた。

「日向さんのいる千静スタジオ、最近ちょっと揉めてたって聞きました」

日向雫の胸がわずかにざわめく。北野涼介――耳が早い。

「もう解決しました」日向雫は淡々と言った。「雨宮静佳が公の場で謝罪して、真相もはっきりしましたから」

「それならよかったです」

北野涼介は小さくうなずく。

「日向さんって、いざという時でも慌てないし、頭の中が整理されています。正直、意外でした」

褒め言葉のはずなのに、どこか引っかかる。持ち上げておいて、後から落とすつもりなんじゃないか――日向雫はそんな警戒を拭えなかった。

次の瞬間、北野涼介はさらり...

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